Story

[ホントウニイキタイ]

 あの3.11の日。都内のマンションにて震度5強に部屋中をかき混ぜられ咄嗟にオフィスデスクの下に身を隠しながら思ったのは「あ、おれ生きたいんだ」と言う事でした。

そしてその日から目に見えるもの耳に聴こえるもの心が感じる事たちが大きく変容しました。

 

 隣家が隙間無く接し空の見えない自宅マンションのベランダに咲くコンテナの花たちを眺めてはため息をつく毎日を変えよう!と2011年3月の末ごろにやっと思い至りました。

 

その衝動は烈しく

「自然に沿って生きたい!」

「いのちを感じながら生きたい!」

「ほんとうに生きたい!」

と言う渇望感とも言えるものでした。

 

 一度目が醒めてみると目指すべき道は自ずとはっきりしていている様に思え、姉にまかせっきりだった認知症の母と同居し、相模原の実家近くで母の介護をしながら農を営み暮らしたいと言うものでした。

 

 早速まずはかながわ農業アカデミーへ相談に行くも進展が無く、途方にくれながら相模原市の農政課へ相談をしたところ色々親身になってお調べいただき、岩澤信夫氏のもとで学び耕さない田んぼの自然耕塾@相模原をされている「大家族」さんの、畑を学ぶ「栽培研究会」をご紹介いただきました。

大家族代表の小川誠氏(先生)へ途中からの参加を快諾いただき、およそ8ヶ月ほど耕す有機栽培の畑と耕さない自然農の土をいじらせていただきながら農への気持ちを確かめていました。

しかし、この期間、池袋のサンシャインで行われていた新・農業人フェアに出展していた神奈川県のブースを訪れてみましたが、実際の農業への道筋が見えず農を生業とする事は半ば諦めかけてもいました。

 

 そんな折、実際の農家さんのお仕事も体験してみたいと思い、インターネットで出会った青根にてトマトを主生産作物となさっている「よしみ農園」さんへ援農のお願いをしてみたところ、心よくお引き受けいただく事となりました。 

よしみ農園さんを訪れたその日は2012年初春のまだ寒さの残る雨の日でした。

霧が流れる青根の山々は静寂で厳かな雰囲気さえ漂っており、ハウスの屋根にあたる雨音がやけに大きく聴こえる気がして、

「あー、こんな静かな場所で自然に包まれながら生きていけたら」

と願わずにはいられませんでした。

その日以来、隔週末によしみ農園さんへお邪魔し色々とお話しをさせていただいている中で、青根で農業をしながら生きて行きたいと言う思いが強くなり吉見さんへ相談をさせていただいたところ、具体的な提案やお話しをいただき、農業者への道筋が次第に明瞭となって行きました。

その後は吉見さんに住む家を探して頂いたり、かながわ農業アカデミーから情報をとって頂いたりと吉見さんとの出会い無しには何も進まなかったであろう様々な事が進展して行き、2012年10月には都内より青根へ転居し、いよいよ本格的によしみ農園さんで農業研修を開始する事となりました。

 

よしみ農園の吉見さんや地域の方々に暖かく迎えていただき支えられながら1年半の研修を終えていよいよ2014年4月より真鍋流農園を開設出来る事となりました。

 

前職で心底お世話になり無理をご理解いただいた横田社長やお客様、また家族や友人など多くの人々に支えられて今がある事を感謝しつつ、いのちに添った皮までまるまる食べちゃうぞをテーマに日々の暮らしを彩り豊かにする野菜をお届けできる様笑いのある穏やかな日々を送っていきたいと願っています。

2014年3月